No.176『うまく話し合うために』
口べたな人は、いつも他人に言い負かされ、自分だけが我慢させられているように感じてしまいます。
「もっとうまく話せるようになれば、他人にやり込められずにすむのに」と思っている人もいるかもしれません。
しかし、人間関係は、「弁が立つ者が勝ち」というものではありません。
口べたな人は、「自分の言ったことを否定されたくない」という思いが強すぎるのではないでしょうか。
はじめから「相手に自分の意見を理解させ、納得させること」を目的としてしまっては、どうしても押しつけがましくなり、関係はぎすぎすしたものになってしまいます。
「相手の反応がどうであろうとも、とにかく自分の思っていることを伝える」と気楽に構えるほうが、うまく話せるものです。
人と人が話し合う目的は、完全に価値観を一致させることではなく、互いがどう思っているのかを「知り合う」ことです。
自分の幸せをどう実現するか、人によって「やり方」は違います。「やり方」は違っても、「思い」は理解し合うことができます。
もちろん、他人の理解はえられたほうがよいに決まっていますが、他人の協力が必要なのであれば、「どちらが勝つか」という対決姿勢でのぞむのではなく、互いを活かせる道を探らなければなりません。
どうしても判り合えない部分もありますが、判り合えないなら判り合えないままにやっていくしかないのです。
「他人に理解してもらえなければ満足できないもの」だけに頼っていては、思い通りに生きることはできません。
自分は自分のやり方で幸せを求め、他人は他人のやり方で求め、互いにそれを認め合えればそれでよいのです。
(おわり)