No.065『心は感情である』
「われわれは、楽しいから笑うのではない。笑うから楽しいのだ。悲しいから泣くのではない。泣くから悲しいのだ」と、ある有名な心理学者は言いました。
現在の心理学的な見地からは、必ずしも正しいとはいえない論理だそうですが、ふだんの私たちの「心の持ち方」を考えるとき、おおいにためになる言葉です。
「どうせ人間なんて皆、冷たい」と他人を批判している人は、必ずといっていいほど、いつも不機嫌そうな顔をしています。
嫌われるから不機嫌なのか、不機嫌だから嫌われるのか。「卵が先か、ニワトリが先か」のような話ですが、これは「どちらも正しい」と言ってよいでしょう。
まさに、「嫌われるから不機嫌なのであり、かつ、不機嫌だから嫌われる」のです。
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自分の不機嫌さが、まわりの他人の冷たい態度を生みだしているということに気づかなければなりません。
「他人は皆、冷たい」のではなく、「いつも不機嫌な人に対しては、冷たい」というだけなのです。
「自分は何も悪いことはしていないのに、他人に冷たく当たられる」という人がいます。しかし、やはりそういう人は、いつも不機嫌そうな顔をして、他人を不快にしているのです。
不機嫌な人と積極的に仲良くしたいなどという変わった人は、まずいないでしょう。たいていの人は、とばっちりを受けたくないから、不機嫌な人をなるべく避けようとします。それは当然のことです。
むすっとした態度で他人に接するということは、「相手を尊重していない」ということです。
わざと他人をけなしたり、傷つけたりしなくても、「他人に不快感を与えることは、悪いことだ」という意識をもたなければなりません。
いつも不機嫌な人は、実は、「他人に気を遣ってほしい」という甘えが強い人です。
ことさらに不機嫌な顔を見せることにより、「私の機嫌をとってくれ」と他人に要求しているのです。しかし、そういう人は結局、ますます他人にうとまれるだけです。
幸せとは、何でしょうか。「幸せの要因」については、人それぞれでしょうが、「幸せがもたらす結果」については、誰でも共通しています。
「気分がいい状態」が、幸せなときです。
毎日を上機嫌で過ごせるなら、その人はきっと幸せなのです。
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「何もいいことがないから、自分は不機嫌なのだ」などと言っていないで、自分から「気分がいい状態」を作りだせばよいのです。
近所の人や職場の同僚に、これまでただの義務感から仏頂面であいさつしていたのを、今日からは、心からの敬意を込めて、笑顔であいさつしてみてください。
笑顔であいさつをされて、気分を悪くする人はいません。
あなたの笑顔が、まわりの人の気分をよくし、結果的にその上機嫌があなたにも返ってきます。
ただし、「笑顔で明るく過ごす」ということを、「へらへらと媚びへつらって、誰にでもいい顔をする」ということと勘違いしてはいけません。
媚びる人は、相手に対する思いやりではなく、「自分が好かれたい」という利己心だけで愛想よくしているにすぎないので、相手が自分の思い通りにならないと、すぐに機嫌を悪くしてしまいます。
相手のご機嫌をとろうとするのではなく、「私は、あなたを尊重しています」という自分の気持ちを伝えれば、それでよいのです。
たとえ相手に不愉快な態度をとられようが、それでもなお上機嫌でいられたら、自分の感情を自分でコントロールできる、意志の強い人間になれた証拠です。
(おわり)