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No.067『愛情と執着を区別する』

ある異性のことを好きになると、その人のことで頭がいっぱいになります。寝ても覚めてもその人のことばかり考え、ほかのことはまったく手につかなくなることもあります。
その人と恋人同士として付き合うことができたら、どんなに幸せだろう。毎日一緒にいることができたら、あんなこともしてみたい、こんなこともしてみたい。うきうきと楽しい夢に思いを馳せます。

それ自体は、素晴らしいことです。人を愛すれば、少しでも長く一緒にいたい、あらゆることを共有したいと思うのは当然のことです。
しかし、「逆もまた真なり」ではありません。
相手のことで頭がいっぱいだからといって、それを「純粋な愛」だと思い込んでしまうところに、大きな落とし穴が潜んでいます。
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「相手のことばかり考える」のと、「相手を思いやる」のとは異なります。
いつも相手の顔ばかりが頭に浮かび、「この人に愛されたらどんなに幸せだろう」と夢見るのは、単なる自分の「欲求」でしかありません。それは愛の大きさではなく、「愛されたいという欲求の大きさ」にすぎないのです。

「愛されたいと願うこと」は、何の努力も必要とせず、誰にでもできる簡単なことです。よちよち歩きの赤ん坊だって、母親に愛情を要求します。
それだけのことで、「私は、こんなにもあなたのことを愛している」などと恩に着せるような言い方をしてはいけません。

そういう執着気質の人はたいてい、その押し付けがましさゆえに敬遠され、「どうして私の切なる思いを判ってくれないのか」と、逆に相手を責めることになります。
そして、「どうせ他人を愛しても、拒絶されて傷つくだけだ」と、恋愛に恐怖心を抱き、ますます自己嫌悪に陥ってしまいます。
しかし、そこで立ち止まって考え直してみてください。

「他人に執着すること」を愛情だと勘違いしてはいけません。
ストーカーになってしまうような執着気質の人は、自分のことを「純粋で一途な人間」だと思い込んでいるので、始末が悪いものです。
単に「相手のことで頭がいっぱいになっている」状態が愛なのではありません。
そういう人はまた、相手にも「私のことばかり考えてくれること」を要求しますが、そんな無味乾燥で不毛なやり取りは、いたずらに精神を労費させるだけです。
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愛は、もっと積極的な努力を必要とするものです。
努力といっても、「相手の気を引くための努力」ではありません。相手の性格を理解し、相手が何を考えているかを想像し、どうされれば嬉しいのか、何が相手にとっての幸せなのかを考えてあげることです。
それを押し付けではなく、あくまで相手の立場と気持ちを考えながら、示してあげなくてはなりません。

「他人が自分のことをどう思っているかが気になって仕方がない」という若者が増えていると聞きます。
それは、自分のことばかり考えていて、相手の立場になって考えていないからです。「自分の気持ちを判ってほしい」と押し付けるばかりで、相手を思いやる努力をしていないから、いつまでたっても不安なのです。

相手の立場になって考えずに、相手の気持ちが判るはずがありません。
そういう人は、たとえどんなに真剣に「愛している」と言ってくれる人が現れても、心から信じることはできず、「いつか嫌われるかもしれない」という不安に悩まされ続けるのでしょう。

執着気質の人は、絶対的で普遍的な結果を求めてしまいがちです。まず完全な安心感が得られなければ、恋愛関係を始められないと思っているのです。
「永遠の愛を誓う」などというのは、美しい言葉ではありますが、最初からそんな形式的なことにとらわれても意味がありません。
相手をよく知りもしないうちから、「愛を誓う」ことなどできるはずがありません。愛を始めることは簡単ですが、続けていくことが難しいのです。

好きな人ができたなら、まずは、「私は、あなたのそばにいることが嬉しくて仕方がない」という気持ちを充分すぎるほどに伝えてください。
好意を持たれれば、誰だって嬉しいものです。その喜びは自分の自信となり、生きる支えとなります。「好意を示す」だけでも、充分に「相手のため」になっています。
焦ってそれ以上の結果を求めようとするから、失敗するのです。

「今、自分は相手から好かれているか、嫌われているか」をはっきりさせる必要はありません。それよりも、「少しずつ、相手との良好な関係を築くために努力しよう」ということに意識を向ければ、ずいぶん気は楽になります。
「今、できること」をこつこつと積み上げていくほかには、愛を育てる方法はありません。
(おわり)

ありがとう ロングセラー 46刷
こころのおそうじ。(だいわ文庫)
たかたまさひろ(著)
定価 770円(税込)

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メッセージ No.060-069
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