このサイトの作者の本 累計36万部

リラックスブック

たかたまさひろ(著)

こころのおそうじ

たかたまさひろ(著)

こころが休まる本

たかたまさひろ(著)

No.276『他人に腹を立てないほうがよい理由』

ある人の悩みです。
身勝手な友人に手を焼いている。その友人の話すことといえば、自慢話と愚痴ばかりで、うんざりさせられている。いつも自分の話ばかりして、私の話をまともに聞いてくれない。
先日は、一緒に食事をする約束をしていたのに、当日になって急にデートの予定が入ったからとキャンセルをされた。
万事がこのようにマイペースなのだ。
友人は奔放な性格で、別に悪気はないようなのだが、自分が軽んじられているような気がして、不満がたまってしまう。

また別の人の悩みです。
職場に無愛想な人がいる。朝、顔を合わせても、私には目もくれず、ぶすっと黙っている。
無視を仕返すのも大人げないので、私はその人にいつも笑顔であいさつをしているが、返事はない。
小さな職場なので、毎日気持ちよく仕事をしたいと思っているのに、その人の顔を見るとゆううつな気分になる。
(↓広告の後につづきます)

このように、他人の態度にイライラさせられたとき、どう心の整理をつければよいのでしょうか。
無理をして我慢しようとすれば、「自分は悪くないのに、なぜ我慢しなければいけないのか」と、よけいに腹が立ってしまいます。
下手をすれば、「自己嫌悪に陥りたくないから、ますます相手を悪者に仕立て上げてしまう。そんなふうに他人を憎んでいる自分に嫌気がさす」という悪循環にはまり込んでしまいます。

「自分が悪いのか、相手が悪いのか」という考え方では、問題は解決しません。自分が悪くても、相手が悪くても、結局、後味の悪さが残るだけです。
「どちらが悪いか」という問題はひとまず捨ておき、「今後、互いの関係をよくするには、どうすればよいか」を考えるべきなのです。

どんなに虫が好かない人でも、いつか世話になることがあるかもしれません。
なるべく他人は味方につけておいたほうがよいのです。
もし自分が大ケガをしたとき、輸血をしてくれるかもしれません。
もし自分が失業したとき、仕事を紹介してくれるかもしれません。
もし地震や洪水などの災害にあったとき、食べものを分けてくれるかもしれません。
もし自分の目が見えなくなったとき、道案内をしてくれるかもしれません。

他人を「嫌な奴だ」と敵視することができるのは、今、自分がその人の助けを必要とするほど困っていないからです。
しかし、それはたまたま運がよかっただけで、いつ何どき、他人の助けを借りなければならない状況に陥るか判らないのです。
ふだんは他人をうとんじておきながら、自分が困ったときにだけ助けを求めるのは、あまりにも虫のよすぎる話です。
(↓広告の後につづきます)

他人に腹が立ったときは、「自分が将来、困難な状況になって、その人に助けてもらっているときのこと」を想像すればよいでしょう。
もし何も困らなかったとしても、それは自分が幸運だったということなのですから、かまわないのです。
「せっかく保険の掛金を払い続けてきたのに、一度も病気にならなかった」といって怒る人はいません。安心をえることができたのですから、掛金が無駄になったわけではないのです。

近所の人と仲が悪くても、もし自分が急病で倒れたとき、その人が救急車を呼んでくれるかもしれません。
夜中にアパートの隣室の赤ちゃんが大声で泣いていても、「自分が年老いたときに、年金を払ってくれる世代なのだ」と思えば、うるさいとは感じません。
「他人を許す」ということは、いつか他人に助けてもらうための保険だと思えばよいのです。

もちろん、他人への不満をすべて抑え込めばよいというのではなく、八方美人になって愛嬌を振りまいておけばよいというのでもありません。
言いたいことが言い合える関係であれば、自分の不満ははっきり表したほうがよいでしょう。
しかし、「ただ、いら立ちをぶつける」のと、「互いの関係をよくするために建設的な意見を言う」のとでは、大きく違います。
その心がけが大切なのです。

「他人を味方につける」というのは、打算的な考え方のように思われるかもしれません。また、他人を敵か味方かに分けるのも、あまり感心できるものではありません。
しかし、自分の役に立たない人を敵視するのも、やはり打算的な見方です。
同じ打算なら、ものごとを前向きにとらえたほうがよいのです。

「どうすれば他人に傷つけられずにすむか」と考えるよりも、「どうすれば互いの関係をよくすることができるか」と考えるほうが、はるかに前向きだといえます。
「嫌なことを避けるための戦い」には、きりがなく、心は疲れ果てるばかりです。「嫌なことを避ける」のではなく、「よいことを取り入れる」と考えればよいのです。
ささいなことに腹を立てず、心穏やかに過ごせるようになれば、自然に打算などというものは心の中から消え去っていくでしょう。
(おわり)

このサイトが本になりました
リラックスブック(だいわ文庫)
たかたまさひろ(著)
定価 770円(税込)

人づきあいが苦手、小さなことですぐムカッとしてしまう、自信がない、そんなあなたの心を軽くする本
こころのお掃除、始めましょ
メッセージ No.270-279
ページの先頭へ