No.021『批判に耳を傾けよう』
大御所といわれる高齢の俳優が、テレビで語っていました。
「もう私のまわりには、私を叱ってくれる人間がいません。とても淋しいことです」
また、あるビデオ女優は、その職業を選んだ理由を訊かれて、
「みんなちやほやしてくれて、わがままを言っても叱られないから」
と答えていました。
他人から批判されることは、誰にとっても気分のいいものではありません。
しかし、人間なら誰にでも、何か欠点はあるはずなのです。面と向かって言われなくても、心の中では批判されているのですから、同じことです。
「誰も自分のことを相手にしてくれない」と嘆いている人は、自ら「相手にしにくい雰囲気」をつくり出していないかを反省してみてください。
批判されると猛烈に反抗したり、すねて相手を無視してしまったりしていると、他人から「この人には、何を言っても仕方がない」と思われてしまいます。
批判をまったく受けつけず、いつもご機嫌を伺っていなければいけない人と付き合うのは、とても疲れるものです。そういう人は、やがて誰からも敬遠されてしまうでしょう。
他人から批判されなくなってしまったら、終わりです。誰も自分のことを真剣に考えてくれていないということなのです。褒められることも、認められることもありません。
批判されたときには、腹を立てる前に、まず「自分のためになるのでは」という気構えをもって対応したいものです。
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逆に、信頼のおける恋人や友人には、相手のためになることなら、ときには言いにくいこともはっきりと言ってあげるべきです。
他人を批判する以上、いい加減なことは言えません。自分の言葉に責任をもつ必要があります。
たがいに批判し合うことは、理解を深め合い、ともに成長することでもあるのです。
他人を批判するときに注意すべきことは、「こういう点が間違っている」という事実のみを客観的に述べなくてはならない、ということです。
決して、「だからお前はダメなんだ」「バカじゃないの」「あなたを見損なったわ」などと、相手の人格まで否定するようなことを言ってはいけません。
人格を尊重できない人に他人を批判する権利はありません。
自分が他人から批判されたときも、指摘された内容を客観的に受け入れるくせをつけなければなりません。
相手にひどい言葉でののしられたとしても、それは相手の性格の問題であり、あなたの問題ではありません。
言い方がどうであれ、相手の指摘が正しいと思えば、謙虚に反省すべきです。
自分が他人を批判するときは、相手の人格を否定しないよう言い方に気をつけ、自分が他人から批判されたときは、言い方に腹が立っても気にせず、正しいか間違っているかを客観的に判断してください。
他人に一歩譲ることを「敗北」や「屈辱」だと思っている人がいますが、それは大きな間違いです。
かたくなに譲らない人こそ、実は「敗北者」「負け犬」なのです。
まわりから面と向かって批判されなくても、心の中で軽蔑されているくだんのビデオ女優は、誰からも愛されることはないでしょう。
批判に素直に耳を傾けられる大人になりたいものです。
(おわり)