No.036『目標とする人を見つけよう』
人は、嫌なことがあったとき、それが自分のせいであっても、つい自分の弱さをごまかしたり、責任を転嫁したりしてしまいがちです。
自分のさもしい考え方に嫌悪感を抱きながら、なかなか素直になれず、逆に腹を立て、裏腹な行動をとってしまうものです。いわゆる「逆ギレ」です。
人がもっとも腹を立てるのは、自分の劣等感に触れられたときです。怒りっぽい人というのは、それだけ劣等感の深い人だといえます。
自分が劣等感を感じながらも、克服しようとせず、ごまかし続けている人は、それを他人に掘り起こされることを怖れています。
せっかく「自分を変えたい」という意思をもっても、それが実現できなかったときには、かえって「どうせ自分はダメな人間だ」と嫌悪感を深めてしまうことになります。
(↓広告の後につづきます)
そういうときは、自分が目標とする人をひとり、心に描いてください。
芸能人でも、スポーツ選手でも、作家でも、身近にいる人でも、好きな人がひとりはいるはずです。
そして、つまらないことに腹を立てて自己嫌悪に陥ったときには、
「○○さんなら、こんなことで腹を立てたりしないだろう」
「○○さんなら、こういうとき、どう対処するだろう」
と、その人のことを思い浮かべてください。
必ず心がスーッと楽になり、気分が落ち着くはずです。
もちろん、本当に腹を立てるべきときもあります。正しいことは堂々と主張してよいのです。自分が正しいなら、自己嫌悪は感じないはずです。
問題は、腹を立てている自分が嫌になったときです。そういうときは、やはり突き詰めて考えれば、腹が立つ本当の原因は、自分の劣等感の中にあります。
冷静に考えれば自分も間違っていることは明らかなのに、それを認めるのが怖いから、必死で守ろうとして、他人を攻撃してしまうのです。
自分の人生を自分の責任として考え、何ごとも主体的に考えるのはよいことですが、この「主体的」という意味をはきちがえると、「自分がすべて」というエゴイズムや、「どうせ自分なんて」という重圧感、無力感に変わってしまいます。
行き詰った場合には、一度「自分が、自分が」という我(が)を捨てて、他人の立場で客観視してみることも有効な手段です。
「○○さんなら、こういうとき、どう対処するだろう」
そう考える訓練を繰り返しているうちに、自然に自分の心を制御できるようになるでしょう。
(おわり)