No.058『腹が立ったときが、自分を見つめ直すチャンス』
他人の言動が気に障ったときこそ、自分の過去を振り返ってください。
「私は、これまで一度も、他人に迷惑をかけずに生きてきただろうか。知らぬ間に他人を傷つけてしまってはいないだろうか」
他人に何かをしてあげたのに、感謝の言葉が返ってこなくて、悲しいと感じたなら、よく思い出してください。
「私は、他人に感謝すべきことに、きちんと感謝を示しているだろうか。何かをしてもらうことを当然と考えて、感謝の心を忘れてしまっているのではないだろうか」
他人に侮辱的な態度をとられて憤慨したときは、自分の言動を省みてください。
「私は、他人に接するとき、誰に対しても誠意を示し、相手の人格を尊重しているだろうか。相手の身分や身なり、性別や貧富の違いによって態度を変えてはいないだろうか」
恋人や友人が、自分の望むとおりのことをしてくれなくて、腹が立ったときは、自分の胸に問いかけてみてください。
「私は、つねに相手の望むとおりのことをしてあげているだろうか。人それぞれに性格も価値観も違うのだから、望むことは異なっていても当然ではないか」
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いい友人がいないと嘆く前に、思いを巡らせてみてください。
「私は、はたして誰かから『いい友人』だと思われているだろうか。自分が誰かを求めているのと同じくらいに、自分は誰かから必要とされているだろうか」
仕事がつまらない、やりたい仕事が見つからないと、やけを起こす前に、反省してみてください。
「今の仕事を、プロ意識をもって完璧にこなしているだろうか。つまらない仕事さえ完璧にできない自分に、それ以上のことができるだろうか」
自分の気持ちを誰も理解してくれないと悲観する前に、考え直してみてください。
「私は、他人の気持ちを理解してあげているだろうか。自分の気持ちばかりを一方的に押し付ける人を、積極的に理解してあげられるほどの寛容さをもっているだろうか」
腹が立って不愉快な思いをしたとき、人間は、本能的に、「これは自分のせいではない」という言い訳を見つけようとしてしまいます。
しかし、本当に自分の責任の範囲外のことであるなら、それほど腹は立たないものです。「自分の力でどうしようもないことは、いくら考えても仕方がない」とあきらめられます。
自分の心のもち方の問題であるのに、その責任を何とかして転嫁しようとするとき、矛盾にさいなまれて、堂々巡りになって、そんな自分に腹が立ち、気が晴れないのです。
自分をごまかそうとするより、すべてを自分の問題として考えることの方が、実は、はるかに気が楽なことなのです。
腹が立ったときは、そのエネルギーを、勇気を出して自分にぶつけ、自分を成長させるために使ってみてください。
自己嫌悪に陥って、自分の価値を下げることになるのではないか、という心配はいりません。怒りを心にためておくことの方が、よっぽど精神に悪いことです。
怒りという害悪にしかならない感情を昇華させ、自分の心を清めてください。
真摯に自分の心と向き合えば、きっと自分に素直になり、自分を好きになることができるはずです。
(おわり)