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たかたまさひろ(著)

こころのおそうじ

たかたまさひろ(著)

こころが休まる本

たかたまさひろ(著)

No.168『苦しみが何かを教えてくれている』

大学生の女性Aさんは、人見知りがはげしく、なかなか他人とうち解けることができない性格でした。
同じ学部に、Aさんと同じようにいつもひとりぼっちでいる女子学生がいました。
Aさんは、彼女に何となく親近感をもち、勇気をふりしぼって、「友達になってほしい」と声をかけました。彼女は快く応じてくれ、昼休みに一緒に食事をしたり、休日に遊びに出かけたりする間柄になりました。

Aさんにとって彼女はただひとりの親友であり、彼女のほうもAさんを親友だとみなしてくれていると思っていました。
しかし、Aさんは、ある事実を知って大変なショックを受けました。Aさんの知らないうちに、彼女がほかの友人たちと旅行に行っていたというのです。
Aさんは、自分をのけ者にした彼女を許すことができず、しだいに彼女を避けるようになってしまいました。Aさんは、またひとりぼっちになってしまったのです。
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Aさんは、なぜ彼女を許せないのでしょうか。
彼女がほかの友人たちと旅行に行ったとしても、Aさんが何か損をするわけではありません。親友が人生を楽しんでいるということは、本来喜ぶべきことでしょう。
Aさんは、自分には彼女のように一緒に旅行に行ってくれる友人がいないことが悔しいのです。彼女を恨むことで、自分の劣等感から目をそらしているのです。

社会の中で人と付き合っていく上では、腹が立ったり、いらいらしてストレスをため込んだりしてしまうことはよくあります。
しかし、他人を許せないと思うことは、自ら他人に傷つけられ続ける人生を選択するということです。

たとえ相手が嫌な性格であったとしても、それは相手の生い立ちや環境によるものであって、自分とは関係のないことです。相手のためを思って助言をするならともかく、ただ非難しても何の意味もありません。
自分には自分のできることをすればよいのです。

他人を許せないと思うとき。それは、自分の無意識が何かを訴えかけているのです。
他人から不愉快な思いをさせられれば、一時的に腹が立つのは当然です。しかし、その怒りをいつまでも引きずり、いら立ちがおさまらない場合は、おそらく、自分が認めたくない何かをごまかそうとしているのです。
そういうときこそ、自分の心に潜む劣等感と向き合い、新しい人生を切りひらくチャンスです。

何も悪いことをしていなくても、嫌なことは誰にでも起こりえます。しかし、それをどう受け止めるかは、自分で決めることなのです。
「嫌なことがあった」と嘆いて落ち込むだけの人生を選ぶか。そこから何かを学びとろうとするか。
他人がどうであろうとも、何が起ころうとも、自分の生き方を決めるのは自分自身なのです。
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Aさんの場合、他人とうまく付き合えないこと自体が悪いのではありません。その劣等感にこだわりながらも、ごまかそうとし、他人の態度を非難してばかりいることが間違っているのです。

他人とうまく付き合うことができれば、それに越したことはありませんが、人間の価値はそれだけではありません。
Aさんが自分に自信をもてないのは、他人と自分を較べ、自分のできないことばかりにこだわってしまっていることが原因です。
人見知りという性格は変えられなくても、そういう自分をどう受け止めるかということは変えることができるのです。

人生に起こるできごとはすべて、「自分に何かを気づかせてくれるもの」だととらえることができます。
不運に見舞われたとき、その悲しみと闘い、乗り越えようとするのもよいのですが、その前に、「この苦しみは、自分に何を気づかせようとしているのか」と考えてみることも、おおいに意味があります。

他人の裏切り、病気、事故、災難。そういう不運は誰でも経験したくないものですが、起こってしまったものは仕方がありません。
どうせ過去は変えられないのですから、「そういう経験をしなければえられなかったことに気づく」ということに視点を移してみましょう。
大きな悲しみを経験することによって、これまで見えていなかった幸せに気づくということもありうるのです。

自分の責任で人生を選択するということは、職業や付き合う相手を選ぶということだけにかぎりません。
幸か不幸かを決定づけるもっとも重要な選択は、起こったできごとに意味を見出すということなのです。
(おわり)

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リラックスブック(だいわ文庫)
たかたまさひろ(著)
定価 770円(税込)

人づきあいが苦手、小さなことですぐムカッとしてしまう、自信がない、そんなあなたの心を軽くする本
こころのお掃除、始めましょ
メッセージ No.160-169
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