No.191『自己評価を高める』
他人に強くものが言えない。すぐに嫉妬してしまう。他人を疑ってしまう……。
自分の性格の欠点に悩んでいる人は多くいますが、性格は、変えようと思ってもなかなか変えられるものではありません。
無理をして正反対の行動をとろうとすれば、またそれも問題のある行動となってしまいます。
はっきりものが言えない性格を直そうとして、ずけずけと自分の主張ばかりを押し通そうとすれば、今度は利己的な人だと思われてしまいます。
嫉妬深い性格を直そうとして、我が道を行くという性向を強めすぎれば、他人に無関心で独りよがりな人間となってしまいます。
他人を疑ってばかりいるのもよくありませんが、他人の言うことを何でもほいほいと鵜呑みにするのもよくありません。
どんな性格にもよい面と悪い面がありますので、無理に変える必要はないのです。
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性格よりも重要なことは、自己評価です。
自己評価が高ければ、性格のよい面が活かされ、自己評価が低ければ、性格の悪い面が強く出てしまうものです。
生まれもった自分の性格は、自分特有の個性なのだと、ありのままの自分を受け入れることから始めなくてはなりません。
自己評価の低い人というのは、努力が足りないわけではなく、むしろ必死でがんばりすぎて、疲れ切ってしまっているのでしょう。
ただ、その労力を注ぐ対象を間違っていたために、空回りしていただけなのです。
「このままの自分でいい」と受け入れるということは、現状に甘んじて努力を怠ることだと誤解されやすいのですが、けっしてそんなことはありません。
自己評価の高い人は、向上心を捨て去った怠慢な人ではありません。
むしろ、ありのままの自分を受け入れなければ、本当の向上心は生まれないのです。
自分を受け入れられれば、少しでも自分を向上させるための努力をせずにはいられなくなるものです。
自己評価の高い人は、自分の力で改善できる問題は積極的に改善しようとし、変えられないものは変えられないものとして、そのままに受け入れることができます。
自己評価の低い人は、逆に、変えられるものを変えようとせず、変えられないものにこだわり、嘆いてばかりいるのです。
「私はダメな人間だ」という劣等感にさいなまれてきた人が、その殻を打ち破って、自分に自信をもって生きようとするとき、ひとつの大きな壁が立ちはだかります。
「どうせ私は自分に自信がないから」と言い訳をしてきた、これまでの自分を否定することになるのが怖いのです。
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私は容姿がみにくいから。私は家が貧乏だから。私は誰からも愛されなかったから……。
長い間、不都合なことは何でも「私は特殊な事情を抱えているのだから仕方がない」とごまかすことに慣れてきた人にとっては、その言い訳をはぎ取られることは、はじめはとてつもなく怖ろしいことに感じられるかもしれません。
しかし、自分を愛し、自分に責任をもち、意識的に生きることは、それを大きく上回る喜びをもたらします。
自分に自信をもつために、特別な根拠などいりません。
富をえても、お金に群がろうとする人に認められるだけです。
外面を飾っても、人を見かけで判断する人に好かれるだけです。
地位や権力をえれば、それを利用しようとする人が寄ってくるだけです。
自分を好きになる理由は、「そのほうが楽しいから」ということだけでよいのです。
自分を嫌っている人は、「自信のない自分」さえも受け入れることができずに苦しんでいるのでしょう。
自分を変えるということは、これまでの自分を否定することではありません。
まず、「自信のない自分」をはっきり認めることから、自分を変えるための旅がスタートします。
自分が認めようが認めまいが、それが今の自分なのだ。さあ、それを土台として、ここから積み上げていこう。
そう度胸をきめることができれば、半分は成功したと思ってよいでしょう。
性格を変えられなくても、自分の置かれた境遇を変えられなくても、自己評価を高めることはできるのです。
(おわり)