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たかたまさひろ(著)

No.072『自分の心に言い訳をしない』

恋人に対して、「どうして〜してくれないのか」「そういう態度が許せない」などと、文句ばかり言う人がいます。自分だけが損をしている、という被害者意識が強いのです。
しかし、率直に言って、その人と付き合うことが自分にとって損でしかないのなら、付き合わなければよいのです。

恋人がろくでもない人間なのだとしたら、そんな相手しか選べない自分も、同じように低レベルな人間だということになります。もっといい相手を選ぶ権利があるのなら、文句を言う前に、迷うことなく選んでいるはずです。
それを認める勇気がないばかりに、自分をごまかし、相手ばかりを責めようとする気持ちが、ますます憎しみを増幅させてしまいます。

本当は自分が他人を必要としているのに、「自分のほうが付き合ってやっている」と思い込もうとするずるさが、苦しみを生み出します。
その矛盾を指摘されることを怖れて、ごまかすことに必死にならなければなりません。

「あんな人と付き合って、損をした」としか思えないなら、「相手の選び方」か、「心のもち方」のどちらかが間違っています。
人付き合いに過剰なストレスをためてしまう人は、他人によって苦しめられているのではありません。自分の弱さをごまかすために言い訳をし続けることに、疲れ切ってしまっているのです。
「自分の心に言い訳をする」ことこそ、苦しみの最大の源です。
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「どうせ自分なんか」と自分を卑下する人も、根本の心理は、他人を非難する人と変わりません。
自分に自信のない人は、心の奥に、他人に対する憎しみを封じこめています。自分は他人を嫌っているのに、他人から嫌われるのは怖いのです。嫌われたくないから、怒りを押し殺しています。
その怒りのやり場がなく、どうにも抑えきれないので、他人から反感をかわずにすむ唯一の対象、つまり自分にぶつけてしまいます。

自分を責め、自分の価値を否定し、ときには自分の身体を傷つける。それは本当は、「他人にぶつけたかった怒り」の表出なのです。
自分を卑下する人も、やはり自分の心をごまかしています。自分の心に、憎しみというみにくい感情が巣くっていることを認めたくないのです。

人は皆、弱いから、互いに関わり合って生きています。ひとりぼっちで生きられる人などいません。
弱いのは誰しもお互いさまで、別に恥ずかしいことではありません。自分の弱さを認めようとせず、強情を張ることのほうが、よっぽど恥ずかしいことです。
自嘲や卑屈な開き直りではなく、素直に「自分は弱い人間だから、他人を必要としている」と認めれば、心は安らぎます。

自分に自信をもつためには、不快な感情がわき起こったとき、それをごまかさず、否定せず、ありのままに受け入れることです。
無理に直そうとしてはいけません。それはかえって逆効果です。よいも悪いもなく、ただ、自分の感情をはっきりと自覚するのです。
私は怒っている、私は悲しんでいる、私は恥ずかしがっている……。ありのままの自分を認めてください。
スパゲッティのようにこんがらがっていた心の糸が、一本、また一本と解きほぐれていき、本来の自分が見えてきます。

苦しみの大きさは、幸せになりたいという願望の大きさなのです。肉体に免疫力があるように、人間の心も、自然にまかせておけば、必ず、幸せに向かうようにできています。安心して、自分の「生きる力」を信じてください。
自分の心をごまかさず、ありのままに受け入れる習慣をつければ、きっと自分自身の価値を認められるようになります。
(おわり)

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リラックスブック(だいわ文庫)
たかたまさひろ(著)
定価 770円(税込)

人づきあいが苦手、小さなことですぐムカッとしてしまう、自信がない、そんなあなたの心を軽くする本
こころのお掃除、始めましょ
メッセージ No.070-079
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