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No.253『自分を責めるのはもうやめよう』

他人を怖れてしまう人は、心のどこかに「自分はダメな人間だ」「自分は皆から嫌われている」という劣等感、罪悪感を抱えています。
他人からひどく責められたり、拒絶されたりした経験があるために、「また責められるのではないか」という怖れを感じ、先に自分を責めてその不安をごまかしてしまうのです。

親の言いつけを守らず、「悪い子」だと叱られたこと。
友人との約束を破って、「見損なった」と絶交されたこと。
そのショックから立ち直れず、悲しみと悔しさがくすぶり続け、心の整理をつけることができずに、自分を責める癖がついてしまったのではないでしょうか。
しかし、他人から責められたことのすべてが、自分だけが一方的に悪かったわけではないはずです。
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親の言いつけを守らなかったのは、自分にもやりたいことがあり、それを認めてほしかったから。まだ子供だったために、うまく言葉で伝えることができなかっただけ。
友人との約束を破ったのは、その約束自体が一方的に押しつけられたもので、自分はあまり気が進まなかったから。はっきり断ることができず、悩んでいるうちに、約束の時間がすぎてしまった。
「自分が悪い人間だったから」ではなく、「やり方がまずかった」というだけのことなのです。

「罪悪感を感じる必要はない」というと、反省のない無責任な態度だと思われるかもしれません。
しかし、反省するということは、自分を責め、自分を傷つけることではありません。
反省することの最大の目的は、二度と同じ過ちを繰り返さないようにすることです。
その行動、心構えが大切なのです。

「私は悪い人間だ」と自分を責めるということは、「本当は立派な優れた人間であるはずなのに」というごう慢な思い上がりだともいえます。
そこから先に進めないのは、心の奥では悪いとは思っておらず、何か言い訳はできないだろうかと考えあぐねているからです。
「私はこんなに自分を責めているのに、それでもまだ責めるのか」と間接的に他人を非難して、他人が変わることを期待し、自分の心と向き合うことを避けているだけなのです。

自分の心にはみにくい部分がある。そう自分を省みるところまではよいのです。
問題は、「だから、どうすべきか」ということです。
そういう自分を否定して責めるのではなく、自分の心に潜むエゴをはっきり認識し、それが自分の行動に悪い影響を及ぼさないように注意すればよいのです。

人間とは、基本的にエゴイスティックな存在です。
自分のエゴを自覚していない人も、他人のエゴを認めようとしない人も、またエゴイスティックです。そのさがから逃れることはできません。
皆、少しでも得をしたい、負けたくない、認められたい、愛されたいという利己心に従って行動しています。
つい気をゆるめれば、自分の利益を守るために、ずるいことをしたり、他人を傷つけたりしてしまいかねません。
自分はそういう弱い心をもっていると謙虚に認めることが、自分のエゴを制御するもっとも有効な方法です。
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エゴとは、心にみなぎるエネルギーであり、生命力です。
爆薬は、発破などの工業用に利用されることもあれば、人を殺傷する武器にもなります。
欲求そのものを罪悪だとみなして封じ込めてはいけません。
よい性格、悪い性格とは、簡単に言ってしまえば、エゴを満たす方法が上手か下手かの違いにすぎないのです。

すぐに自分を責める癖がついてしまっている人は、罪悪感にさいなまれていることのうち、8割がたは自分の責任ではないと思ってよいでしょう。
「私は悪くなかった!」と心の中で叫んでみてください。
たとえ以前に悪いことをしてしまったのだとしても、一度、心の底から悪いと思ったなら、もうそれでよいのです。
そんな自分を許すことは、けっしてわがままではありません。

繰り返しになりますが、反省するということは、自分を責めることではありません。
「同じ過ちを繰り返さないこと」の責任の重大さに較べれば、自分を責めることなど、たかが知れています。
自分を責めればそれですむと考えることのほうが、横着で無責任な態度だといえるでしょう。
すぎ去った過去は変えられません。私たちが責任をもつことができるのは、これからの自分の行動についてだけです。

本当に反省するということは、自分のみにくい部分もふくめて、自分を受け入れ、肯定するということです。
自分の弱さ、愚かさが判っている人こそが、つねに自分の行動に注意を払うことができるのです。
自分を肯定できる人は、他人にも寛容になれます。
他人のためにもなるのですから、それはよいことなのです。
(おわり)

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こころのおそうじ。(だいわ文庫)
たかたまさひろ(著)
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メッセージ No.250-259
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